在宅医療

第3回 全国在宅医療医歯薬連合会全国大会

プログラム - 医科

9月28日(土)

在宅療養支援診療所連絡会 大会長講演 (第3会場 14:10〜15:10)

テーマ キュア志向の病院医療と(キュア・)ケア志向の在宅医療(病院外医療)の哲学(文化)の違いー良質な病診連携を目指して
座長 和田 忠志(医療法人社団実幸会いらはら診療所)
演者 中野 一司(第7回全国在宅療養支援診療所連絡会全国大会大会長)
概要  演者の経営する医療法人ナカノ会ナカノ在宅医療クリニックは、今年9月で創立20周年を迎えた。20年前の開業当初は、在宅で病院の医療(病院医療)をすることが在宅医療だと考えていたが、在宅医療を展開する中で、在宅医療は従来の病院医療とは似て非なる医療ではないかと感じるようになってきた。そいう中、開業9年目の2008年8月に村田久行先生のセミナーで“苦しみの構造”におけるキュア/ケア概念に遭遇した。演者は、この”苦しみの構造“を発展させた”問題の構造“(全ての問題は客観と主観のズレにより生ずる)を提起し、問題解決のため客観を是正する問題解決の手法を”キュア“、主観を是正する手法を”ケア“と定義し、キュア志向の病院医療に対し(キュア・)ケア志向の在宅医療を提唱している。
 病院は「病気を検査し治療することが目的」の場で、これが治すことを目指したキュア志向の病院医療の哲学(文化)である。これに対し、在宅医療(病院外医療)は病院外の場(自宅や介護施設)で提供する医療で、患者さんの生活を支えることが優先する医療である。このように、治す医療であるキュア志向の病院医療と(治し・)支える医療である(キュア・)ケア志向の在宅医療(病院外医療)とは、180度違う哲学(文化)を持つ医療体系である。
 本大会長講演では、「ナカノ理論」を使って、キュアとケアの定義を明確にし、キュア志向の病院医療の哲学(文化)と(キュア・)ケア志向の在宅医療(病院外医療)の哲学(文化)の違いについて言及し、両者の連携のためには、その哲学(文化)の優位性を争うのではなく、お互いの哲学(文化)の相違の相互理解による連携を模索するのが、在宅医療の推進と地域包括ケアシステムの構築には必須であることについて述べる。
また、在宅医療専門クリニックとして20年間活動する中でのICTをフル活用した地域包括ケアシステムの構築について述べ、次のシンポジウム②の「在宅医療の推進と、病院医療と在宅医療(病院外医療)の良質な連携を模索する」につなげたい。

参考文献:http://nakanozaitaku.jp/katsudou/shoseki1.html

シンポジウム1 (第3会場 9:30〜11:30)

テーマ 最新の再生医療とリハビリテーション医療を在宅で繋ぐ
座長 藤原 俊之(順天堂大学大学院医学研究科リハビリテーション医学)
演者
  • 生活期リハビリテーション医療におい在宅医療現場で在宅医ができること
    石垣 泰則(医療法人社団悠輝会 コーラルクリニック)
  • 最新の再生医療研究の現状
    伊佐 正(京都大学大学院医学研究科)
  • 脳卒中における再生医療の研究進捗状況・臨床応用の実際
    弓削 類(広島大学)
  • 運動器疾患(軟骨)における再生医療の研究進捗状況・臨床応用の実際
    中村 憲正(大阪保健医療大学保健医療学部)
概要  昨今、我が国の医学会はノーベル賞受賞者を何人も輩出し、それに伴い医療分野も目覚ましい進歩を遂げている。リハビリテーション医療の分野においても、再生医療を応用し、新しいリハビリテーション医療技術を組み合わせた画期的治療を目指す兆しがみられている。最新医療がリハビリテーション医療とつながり、患者の心身機能の改善得られることは素晴らしいことである。病気によって打ちひしがれた患者の人生が、日々の生活すなわち在宅で再生するために、私たちは何をすべきか学ぶ必要がある。本シンポジウムにおいては、再生医療の第一線の研究者による最新医療の現状を踏まえ、最新のリハビリテーション医療の可能性を探り、在宅医療の現場でできることを考えていきたい。

シンポジウム2 (第3会場 15:20〜17:50)

テーマ 在宅医療の推進と、病院医療と在宅医療(病院外医療)の良質な連携を模索する
座長 和田 忠志(医療法人社団実幸会いらはら診療所)
中野 一司(医療法人ナカノ会)
基調講演
15:20〜16:00
  • 人口構造の変容と在宅医療の展望
    島崎 謙治(政策研究大学院大学)
シンポジウム
16:00〜17:50
  • かかりつけ医の在宅医療
    鈴木 央(鈴木内科医院)
  • 病院の在宅医療
    高山 義浩(沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科 副部長)
  • 入退院支援について
    宇都宮 宏子(在宅ケア移行支援研究所宇都宮宏子オフィス)
  • 総合討論
概要  超高齢社会を迎え、人口構造や疾患構造の変化に伴い、病院中心医療システムから地域中心医療・介護システム(地域包括ケアシステム)への転換は時代の要請である。その中核をなす政策が在宅医療の推進と地域包括ケアシステムの構築である。地域包括ケアシステムには、病院医療(急性期病院、慢性期病院)も含まれる。
 大会長講演で述べるが、従来の病気を治す医療である病院医療と、患者さんの生活を支える医療である在宅医療(病院外医療)とは双方の文化・哲学が違う。この病院医療と在宅医療(病院外医療)の両者の文化・哲学の相互理解と相補的な連携が、良質な病診連携には必須であると思われる。
 病院医療と在宅医療(病院外医療)の文化・哲学の違いは、病院内(病気を治す場)か、病院外(生活が主体になる場)で行われる医療・介護かの、“場”の違いによって生じると思われる。そして、急性期医療は病院医療(治す医療)の哲学で実践されて当然であるが、慢性期医療は在宅医療(病院外医療)の哲学で実践されるべきものであろう。その意味では、在宅医療を推進するためには、医師が病院(診療所外来も含む)から病院外(在宅や施設)に出かけ在宅医療(病院外医療)を実践することが必須の行動で、医師が直接在宅医療(病院外医療)を経験することで医師にキュアからケアへの意識変容をもたらすものと思われる。
 本シンポジウム②では、基調講演として、まず政策大学院の島崎謙治先生に「人口構造の変容と在宅医療の展望」というタイトルでご講演いただき、1)かかりつけ医の在宅医療について鈴木内科医院の鈴木央先生に、2)病院の在宅医療について沖縄県立中部病院の高山義浩先生に、3)入退院支援について在宅ケア移行支援研究所宇都宮宏子オフィスの宇都宮宏子先生にそれぞれお話し頂き、最後に在宅医療の推進と、病院医療と在宅医療(病院外医療)の文化・哲学の違い、良質な病診連携、入退院支援、地域包括ケアシステムの構築などにつき全体的に総合討論してみたい。

中野 一司(医療法人ナカノ会)

9月29日(日)

シンポジウム3 (第2会場 9:00〜12:00)

テーマ 人生会議(ACP)の本質に迫る
座長 新田 國夫(医療法人社団つくし会)
基調講演 稲葉 一人(中京大学 法務大学院 法務研究科)
シンポジスト
  • 医師:鈴木 央(鈴木内科医院)
  • 歯科医師:三木 次郎(三木歯科医院)
  • 薬剤師:高橋 眞生(カネマタ薬局)
  • 看護師:高砂 裕子(全国訪問看護事業協会)
  • コメンテーター:稲葉 一人(中京大学 法務大学院 法務研究科)
概要  ACPという概念が突然出てきたわけではない。日本が超高齢社会に突入する中、終末期医療の在り方が問われてきた。在宅医療においても多くの対象者は85歳以上であり、又病院医療も超高齢者の終末期医療に対してどのような対応をすればよいのか、日常臨床では毎日の課題である。終末期医療の解決策はあるのかが問われてきた。解決の方法として、ACP が登場し、本人の意志表明ができる間に、自分の終末期医療について、あるいはケアについて考える。本人が決めたことに基づき前もって医療ケア計画を話しあうことのプロセスが重要であると定義された。しかしながら一方、安楽死を助長する、人の気持ちは変わる反対論があった。ACPが国家的プロジェクトになる中、実際に、こうした話題が登場してきている。死ぬ権利が助長されるのは老化の中に生きる満足度、生きがいを失う人生と考えられるがために本人の意志決定として死を選ぶ価値観が正当かされる。ACPを議論する前に改めて高齢になっても生きがいを求めて生きる権利があり、社会保障はその人の自立のための自律支援をすることの本質があり、そのうえで本人の意志決定も含めた諸課題について話し合う事である重要性を示す。ACP の本質に迫る議論が待たれる。今回のシンポジウムはなぜ、何のためにACPが行われるのかを話し合うことを望む

日本在宅ケアアライアンス議長  新田 國夫

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